法務の76%が生成AIを活用、税理士事務所がAI集客と業務効率化で今すべきこと
主要企業の76%が法務業務で生成AIを活用という日経調査をもとに、税理士事務所が取るべき対応を解説します。AIに任せる業務と人が判断する範囲の線引き、誤情報リスクへの備え、GEO・AI-SEOを踏まえた集客と業務効率化の進め方をわかりやすくまとめました。

法務部門の76%が生成AIを使う時代に、税理士事務所は「使う側」としてどう動くか
日本経済新聞の調査で、主要企業の法務部門の多くが生成AIを論点整理や調査に使う実態が明らかになりました。顧問先がAIで下調べしてから専門家を探す時代に、税理士事務所は何を整えるべきかを解説します。
日本経済新聞の調査で、国内主要企業の76%が一般的な生成AIを法務業務に使っていることがわかりました。論点整理やリサーチなどに幅広く使われる一方で、誤った情報や著作権の侵害といったリスクを管理する体制づくりが課題になっています。本記事は2026年2月16日時点の公開情報をもとにしています。専門職の領域でAIが当たり前に使われ始めたという事実は、税理士事務所の集客にも、日々の実務にも、そのまま跳ね返ってきます。
Part 1: このニュースが、あなたの事務所にどう関係するか
このニュースの背景と、税理士にとっての意味
今回の調査は企業の法務部門を対象にしたものですが、税理士にとって他人事ではありません。理由は大きく二つあります。
一つ目は、顧問先の側がすでにAIを使い始めているということです。法務で論点整理やリサーチにAIを使う企業が多数派になっているなら、税務まわりの一次調査にも同じ道具が使われていると考えるのが自然です。顧問先が「AIにこう聞いたら、こう出ました」と言いながら相談に来る場面は、今後さらに増えていきます。そのとき求められるのは、AIの答えを一緒に検証し、個別の事情に照らして判断できる専門家です。
二つ目は、集客の入り口が変わり始めていることです。私は税理士事務所のAI集客を支援する立場ですが、紹介と昔からの顧問先で回してきた事務所ほど、検索から新しい依頼者が入ってくる導線が弱くなりがちです。ところが今は、依頼者が「〇〇市 相続 税理士」と打ち込む前に、まず生成AIに相談して当たりをつける場面が増えています。企業の担当者がAIで論点を整理してから専門家を探すのだとすれば、AIに正しく引用してもらえるかどうかが、そのまま問い合わせの数に効いてきます。
そしてもう一つ、この記事が伝えているのは「使うこと」より「使い方を決めること」が課題だという点です。誤情報や著作権の侵害といったリスクを管理し、所内の誰が使っても大丈夫な形に整えることが、専門職としての信頼を守る前提になります。
要点を整理する
| 項目 | 調査で示された内容 |
|---|---|
| 調査の実施時期 | 2025年10月に実施された企業法務税務・弁護士調査 |
| 生成AIの活用率 | 国内主要企業の76%が一般的な生成AIを法務業務に使用 |
| 主な使われ方 | 論点整理やリサーチなど、幅広い業務に活用が進む |
| 浮かび上がった課題 | 誤情報や著作権侵害などのリスク管理 |
| 企業側の対応 | 社員が適切に使えるよう、全社的な体制整備に取り組む企業が増加 |
| 報道日 | 2026年2月16日(日本経済新聞) |
日本経済新聞 — 「<企業法務税務 弁護士調査>生成AI、法務で活用76% 主要企業、論点整理や調査に幅広く リスク管理が課題に」(2026年2月16日)
この表は情報提供を目的に、公開情報の事実をもとに作成したものです。詳細は上記リンクの元記事をご確認ください。
Part 2: あなたの事務所での活かし方
税理士としての動き方
ニュースを読んで「うちも何かしなければ」と焦る必要はありません。順番を決めて、小さく始めるほうが確実です。
まず、事務所の中でAIに任せてよい作業と、税理士が判断すべき領域の線引きを、紙に書き出して決めます。決まった手順で終わる作業はAIに任せ、税法の解釈や顧客ごとの事情を踏まえた判断は必ず人が行う、という形が基本です。この線引きを最初に文書にしておくと、所内の誰が使っても迷いません。
次に、時間を最も食っている作業を一つだけ選びます。手作業での帳簿の突き合わせなのか、顧客向けの説明資料づくりなのか、単純な問い合わせへの一次対応なのかは事務所によって違います。全部を一度に自動化しようとすると必ず途中で止まりますので、一つに絞ってください。
三つ目に、AIの出した数値と実際の取引データが一致しているかを毎回確認する手順を決めます。これを省くと、便利さがそのまま事故につながります。確認する人、確認するタイミング、記録の残し方まで決めておきましょう。
四つ目が集客です。顧問先や見込み客がAIに相談してから専門家を探す流れが強まっている以上、事務所のホームページの書き方も変わります。強みを短い言葉で言い切り、対応できる分野と地域をはっきり書き、AIが読み取りやすい形に整えていきます。
最後に、AIが使えないときの手動の手順を用意しておきます。道具が止まっても業務が止まらない備えがあってはじめて、安心して任せられます。
| 進め方 | やること | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 線引きを決める | AIに任せる定型作業と、人が判断する領域を文書化する | 税法の解釈や個別事情の判断は必ず人の領域として残す |
| 対象を一つに絞る | 最も時間を取られている作業を一つ選ぶ | 一度に全部を変えようとせず、七割の完成度で始める |
| 検証の手順を決める | AIの出力と実データの一致を毎回確認する | 確認者・タイミング・記録方法まで決めておく |
| 集客の入り口を整える | 強み・対応分野・地域が伝わる形にホームページを直す | 検索エンジンにも生成AIにも読み取られやすい書き方にする |
| 止まったときに備える | AIが使えない場合の手動手順を準備する | 特定の人しか分からない仕組みにしない |
税制や関連する制度の内容そのものは変わっていきます。実務に関わる部分は、国税庁や日本税理士会連合会などの公式の最新情報を必ずご確認ください。個別事案の判断は、税理士である読者ご自身の専門判断にお任せします。
よくある失敗と対策
失敗1: AIの答えをそのまま顧客に渡してしまう
私自身、ChatGPT Plusで配偶者控除の条件を調べたとき、所得の制限額が古い情報のまま返ってきたことがありました。Claude Proが、グレーな手法を「合法だ」と言い切ってしまったこともあります。もし確認せずに使っていたらと思うと、今でも冷や汗が出ます。
NG例: AIが出した回答を、内容を確かめないまま顧客への説明資料に貼り付けてしまう。
OK例: AIの出力は下書きとして扱い、最新の法令と実際の取引データに当てて必ず人が確認してから顧客に渡します。
失敗2: 導入を業者に丸投げしてしまう
要件をあいまいなまま任せたプロジェクトで、「動くけれど使えない」システムができあがった失敗を、私は何度も見てきました。手順や困りごとを具体的に説明する時間を惜しんだ結果、実際の業務の流れに合わず、結局は手作業に戻ってしまいます。
NG例: 「とにかく自動化してほしい、細かいところは任せます」と丸ごと外部に預ける。
OK例: どこまでAIに任せ、どこから人が判断するかという最低限の線引きだけは、税理士自身が決めてから相談します。
失敗3: 集客を後回しにしてしまう
業務効率化には熱心でも、ホームページは何年も前のまま、という事務所は少なくありません。支援の際は、まず古くなったホームページを、依頼者が検索しそうな言葉で見つけてもらえる形に整えるところから始めます。専門性そのものは先生の強みですから、私は「その強みをどう見つけてもらうか」の部分をお手伝いする、という分担を前提にしています。
NG例: 事務所の沿革と資格の一覧だけを並べ、どんな相談に応じられるのかが読み取れない。
OK例: 対応できる相談内容と地域を具体的に書き、問い合わせへの導線を分かりやすくしておきます。
Part 3: もっと深く知る
関連する用語・制度
GEO(生成AI最適化) 生成AIの回答の中で、自分の事務所が正しく取り上げられるように情報を整えていく考え方です。依頼者が検索窓に言葉を打ち込む前に、まずAIに相談して当たりをつける場面が増えているため、AIが読み取りやすい書き方に直していく作業が意味を持ちます。たとえば「相続に強い」とだけ書くのではなく、対応できる相談内容と地域をはっきり書くだけでも、拾われ方は変わります。
AI-SEO(AI時代の検索対策) 従来の検索順位を上げる取り組みに、生成AIに引用されやすくする視点を組み合わせたものです。税理士事務所のAI集客を支援するうえでも、狙ったスモールキーワードで見つけてもらえるようにしつつ、AIにも拾われやすい書き方へ整えていきます。時間はかかりますが、こうした積み重ねが問い合わせの入り口を少しずつ広げていきます。
生成AIの誤情報(ハルシネーション) AIが、事実ではない内容をもっともらしく答えてしまう現象です。今回のニュースでも、企業が管理すべきリスクとして誤情報が挙げられています。税務の場面では、法改正が反映されていない古い数値が返ってくることがあり、専門家による確認が欠かせません。
三点照合 銀行の明細と領収書、請求書という三つの資料を突き合わせて、数字が合っているかを確かめる作業です。決まった手順の繰り返しなので自動化に向いており、私はClaude Codeで自動化のスクリプトを組み、Claude Proで全体の論理を確認したうえで、ChatGPT Plusで個別の取引を検証する、という順序で進めています。
社内のAI利用ルール 誰が、どの業務で、どの範囲までAIを使ってよいかを定めた決まりごとです。ニュースで触れられているとおり、企業は全社的な体制整備を進めています。事務所でも、顧客の機密性の高い財務データをどこまでAIに渡してよいかの線引きを、あらかじめ決めておくことが重要です。
Part 4: よくある質問(FAQ)
法務部門の話であって、税理士には関係ないのではないですか。
顧問先の企業がAIを使い始めているという点で、直接関係します。企業が論点整理やリサーチにAIを使うようになれば、税務の一次調査にも同じ道具が使われます。AIの答えを持ち込んでくる顧客に、専門家として何を足せるかが問われる場面が増えていきます。
AIを使うと、専門家としての信頼が下がりませんか。
使い方を決めていれば、むしろ逆だと考えています。決まった手順で終わる作業をAIに任せ、空いた時間を経営の相談や資金繰りの改善、事業の引き継ぎといった踏み込んだ話に使うほうが、顧客からの評価は上がります。丁寧さは、手を動かした時間ではなく、顧客の事業をどれだけ深く理解しているかで示すものだと感じています。
顧客の財務データをAIに入れても大丈夫でしょうか。
ここは慎重にお考えください。顧客の機密性の高いデータを外部のAIに送ることには、情報漏えいの懸念が残ります。何をどこまで渡してよいかの線引きを先に決め、その範囲でしか使わないという運用にしておくことをおすすめします。
ひとり税理士でも取り組めますか。
取り組めます。小規模な事務所では、「単純な問い合わせの一次対応に時間を取られる」「繁忙期は新規の相談まで手が回らない」という悩みが共通して聞かれます。こうした場面では、AIやITで肩代わりできるのはどこまでで、先生ご自身が向き合うべきなのはどこか、という線引きを最初に整理しておくことが大切です。まず一つの作業から、七割の完成度で始めてみてください。
AIを使うには、プログラミングの知識が必要ですか。
必要ありません。今のAIは、普通の言葉で指示するだけで動きます。「帳簿全体の論理を確認してください」と日常会話と同じように伝えるだけで、難しい作業も実行できます。基本的な使い方は、数週間で身につきます。
活用のコツ(3 Tips)
まず一週間の業務を書き出してみる どの作業に何時間かかっているかを紙に書き出すだけで、AIに任せられる部分が見えてきます。手作業での突き合わせと説明資料づくりに時間が集中している事務所が多いです。
AIに任せる範囲と人が判断する範囲を文書にする 口頭で決めるだけでは所内に残りません。判断の基準を最初から文書にまとめておけば、他の税理士にも引き継げます。
ホームページの入り口を一つだけ整える すべてを作り直す必要はありません。対応できる相談内容と地域を具体的に書き、問い合わせへの導線を分かりやすくする。それだけでも、見つけてもらえる確率は変わります。
ボーナス: 税理士AIの活用法
税理士AIでは、税理士・税理士事務所の集客と業務効率化を、AIとITの側からお手伝いしています。制度や税務の個別判断は先生ご自身の専門領域ですので、私たちはその強みを「どう見つけてもらうか」「どう手早く回すか」の部分を引き受ける分担です。
次のステップとして、こんなご相談ができます。
- 生成AIに正しく引用されるためのGEO・AI-SEOの見直し
- 事務所ホームページの改善と、問い合わせ導線の整理
- 帳簿の突き合わせや説明資料づくりなど、定型作業の自動化の設計
初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

