税理士のAI活用が定着する進め方|定型作業ひとつから3か月〜6か月で広げる

税理士事務所のAI活用は、ツールを契約したところで止まりがちです。定型作業をひとつ選んで7割で動かし、設定と判断基準を文書にしてから次へ広げる、3か月から6か月の進め方を説明します。三点照合の自動化で確認時間が半分以下になった私の経験と、よくある失敗例も紹介します。

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運営者・AIエンジニア / IT歴36年以上・SEO歴21年以上

税理士のAI活用が定着する進め方|定型作業ひとつから3か月〜6か月で広げる

税理士事務所でAIを活用しようと決めて、ツールを契約したところで止まっている事務所は少なくありません。AIを使い始めた職員が一人か二人いて、あとは様子見のまま数か月が過ぎます。

AIの利用が止まる原因は、ツールの性能ではありません。どの順番で、どこまで広げるかが決まっていないことです。決まっていないと、失敗は2つの形で現れます。全部をまとめて変えようとして、誰も使わなくなるか、やる気のある一人が使っているだけで、事務所全体に行き渡らないかです。

この記事では、税理士事務所でAIを使い始めてから、事務所の仕事として定着するまでの進め方を、3か月から6か月の段階に分けて説明します。私が支援先で実際にやってきた順番です。

要約

  • 税理士事務所のAI活用が定着するかどうかは、AIツールの性能より進め方で決まります
  • 定型作業をひとつ選んで7割で動かし、設定と判断基準を文書にしてから次へ広げると、3か月から6か月で事務所に定着します
  • 税法の解釈と顧問先ごとの判断は、最初から最後まで人が行います。AIに任せるのは、答えが一つに決まる作業だけです

ツールを入れたのに、事務所の仕事として回っていない

よくある状態何が起きているか
一人だけが個人的に使っているその人が休むと止まる
試したが「合わなかった」と止めた範囲が広すぎて動かなかった
事務所の手順になっている担当者が変わっても同じ結果が出る

AIを活用している事務所の話を聞くと、実態は二つに分かれます。所長か若手の一人が個人的に使っていて、ほかの職員には広がっていない状態と、いくつか試したものの「うちの業務には合わなかった」と止めてしまった事務所です。

AIを一人だけが使っている事務所では、使い方がその人の頭の中にしかありません。その人が休んだ日には止まり、異動や退職があれば設定ごと消えます。

AIを試して止めてしまった事務所の場合は、次に始めるときはまた一人の試行錯誤からやり直すことになります。

事務所の仕事としてAIが定着している状態とは、担当者が変わっても同じ結果が出ることです。そのためには、何を任せて何を人が見るかを決め、設定と判断の基準を文書にして、担当者以外でも回るようにする作業が必要です。

AIが定着しないのは、最初から完成形を目指すから

完成形を待つやり方使いながら仕上げるやり方
全部の業務で使えるようにしてから公開定型作業ひとつを7割で動かす
半年かけて準備する1か月で動かし、書類を通しながら直す
繁忙期で止まり、忘れられる繁忙期の前に回り始めている

私が見てきたケースでは、共通の問題があります。まず「せっかくAIを入れるなら全部の業務で」と範囲を広げすぎることです。次に、全体で使えるまで公開を待つことです。そして、待っている間に繁忙期が来て、そのまま忘れられるのです。

完成してから使うやり方は、特に税理士事務所には合いません。12月から3月の忙しい時期が毎年来るので、半年待てばAIは使われなくなります。

私がAI導入を支援するときは、順番を考慮します。まず、定型作業をひとつだけ選び、7割の出来で動かし始め、実際の書類を通しながら直します。完成させてから使うのではなく、使いながら完成に近づけるのです。

AI活用は、定型作業ひとつから始めて3か月から6か月で広げる

時期やること
最初の1か月定型作業をひとつ選び、7割で動かす
2〜3か月目設定と判断基準を文書にし、担当者以外でも回る形にする
4か月目以降時間を多く取られている作業から次へ広げる

AI導入の進め方を、3つの時期で分けましょう。最初の1か月、2か月目から3か月目、4か月目以降の3つです。

最初の1か月は、定型作業をひとつ選んでAIを動かします。2か月目から3か月目は、その作業を事務所の手順に組み込み、担当者以外でも回るようにします。4か月目以降に、次の作業へ広げるという順番です。

この間、税法の解釈と顧問先ごとの事情の判断は、最初から最後まで人が行います。AIに任せるのは、帳簿の入力やルールどおりの計算、書類の突き合わせといった、答えが一つに決まる作業だけです。

3つの時期を、それぞれどう進めるか

時期AIに任せること人が行うこと
最初の1か月三点照合などの突き合わせ合わない数字を引き取る
2〜3か月目決まった手順の処理設定と判断基準を書き残す
4か月目以降一次対応のひな型づくり税法の解釈、顧問先ごとの判断

最初の1か月 定型作業をひとつ選んで、7割で動かす

選ぶのは、毎月同じ手順で繰り返している作業です。銀行明細、領収書、請求書の三点照合から始めましょう。毎回同じ突き合わせをしているので、AIに向いています。

7割の出来で動かし、本物の銀行明細や領収書を実際にAIで処理させてみます。この段階で必ず、AIの出した数字と実際の取引データが合わない場面が出ます。合わないものは人が処理する、という決まりを最初に作っておきましょう。私がAI導入を支援した税理士事務所では、確認にかかる時間は2分の1から3分の1になりました。

2か月目から3か月目 事務所の手順にする

AIが動き始めたら、事務所全体で利用できるようにしましょう。AIの設定と、判断の基準などを文書に残します。何を任せて、何を人が見るのか、合わないときはどうするのかの3つが書いてあれば、担当者が休んでもAIは動き続けます。

あわせて、AIが使えないときに、手動に戻す手順も残しておきます。私は2000年代のSEOの仕事で、検索順位を調べる自動化ツールが検索エンジンの仕様変更で使えなくなり、手作業に戻した経験があります。外側の仕組みは変わるので、手作業に戻れる方法を用意しておきましょう。

4か月目以降 次の作業へ広げる

AIで一つの業務が自動で動き始めたら、次の定型作業にAIを導入します。時間を多く取られている作業が候補となります。多くの事務所では、顧問先からの問い合わせへの一次対応が、AI自動化の候補となるでしょう。

ここで職員の抵抗が出やすいので、よくある質問の答えのひな型を先に用意しておきます。「仕事を取られる」ではなく「確認の手間が減った」と実感できる作業から広げると、抵抗は小さくなります。新しいAIツールへの慣れは、毎日少しずつ触るしかありません。

税理士事務所のAI活用でよくある失敗例

失敗例どうするか
最初から全部の業務で使おうとする定型作業をひとつに絞る
AIの数字を確かめずに使う税率や控除の額は原本で確かめる
担当者一人のやり方のまま進める動いた時点で設定と判断基準を書き残す
浮いた時間をそのまま流す空いた分を何に使うか先に決める

失敗例:最初から全部の業務で使おうとして、どれも動かないまま繁忙期に入ります。定型作業をひとつに絞れば、1か月で動きます。

失敗例:AIの出した数字を、確かめずに使います。私が生成AIに税務相談の回答を作らせたときは、配偶者控除の所得制限が古い年度のまま出てきました。別のAIでは、判断が分かれる節税の手法を「合法です」と言い切りました。税率や控除の額は、必ず原本で確かめます。

失敗例:担当者一人のやり方のまま、文書に残さずに進めてしまいます。その人が休んだ日に止まり、退職したら設定ごと消えます。設定と判断基準は、AIを導入した時点で書き残しましょう。

失敗例:浮いた時間の使い道を決めないまま、日常に戻ります。照合の時間が減っても、空いた分を何に使うかを決めていなければ、忙しいままです。私は、浮いた時間を経営相談のような踏み込んだ仕事に回すことを勧めています。

よくある質問

Q: 職員がAIに抵抗します。どう進めればいいですか。

A: めんどうな定型作業だけを任せると説明してください。「判断はこれまでどおり人がやる」と分かれば、抵抗はかなり減ります。あわせて、よくある質問の答えを先に用意しておくと、使い始めの負担が軽くなります。

Q: 顧問先のデータをAIに渡して大丈夫ですか。

A: どこまでAIに渡すかを先に決めてください。私が導入の相談で必ず聞かれるのは、計算の正確性、税法改正への対応、機密データの安全性の3つです。この3つに事務所としての答えを用意してから、AIに渡す範囲を決めます。無料版のAIは入力内容が学習に使われる場合があるので、顧問先の情報を入れる用途では選ばないでください。

Q: AI導入の効果が出るまでどのくらいかかりますか。

A: 定型作業ひとつなら、1か月で変化が見えます。事務所の仕事として回るまでは3か月から6か月です。1か月で全体の効果を求めると、AIが本格的に動き出す前にやめることになります。

まとめ

税理士事務所のAI活用が定着するかどうかは、ツールの性能ではなく進め方で決まります。定型作業をひとつ選び、7割で動かし、事務所の手順として文書に残してから次に広げましょう。この順番なら、忙しい時期をまたいでも止まりません。

税法の解釈と顧問先ごとの判断は、最初から最後まで人が行います。AIに任せるのは、答えが一つに決まる作業だけです。

まず、毎月繰り返している作業をひとつ書き出してください。それが最初の1か月で、AI自動化の対象になります。どの作業から始めればよいか迷う場合は、無料相談をご利用ください。

参考・出典

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運営者 / AIエンジニア(IT歴36年以上)

  • IT歴36年以上・SEO歴21年以上
  • IBM認定 生成AIデジタルマーケティング
  • 神田昌典氏 認定ライセンシー
  • 税理士事務所のGEO/AI-SEO・記事づくり

IT歴36年以上・SEO歴21年以上の運営者です。長年のSEO対策と最新の生成AIを掛け合わせ、税理士事務所が「AIに引用される(GEO)」状態をつくり、新規顧客を獲得するための記事を、現場目線で書いています。

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