無料相談を「安売り」にしない見せ方|税理士事務所が価値を伝えてAI集客につなげる設計
無料相談の件数は増えたのに契約が増えないのは、値段ではなく範囲を書いていないことが原因です。ページに載せる5項目と「地図は無料、運転は有料」の線引きを、税理士事務所のAI集客(GEO・AI-SEO対策)を支援する視点で解説します。

無料相談を出したところ、相談だけして帰る人ばかりが増えた、というご相談を受けることがあります。件数は増えたのに契約は増えず、対応する時間だけが取られている状態です。
原因は「無料にしたこと」そのものではありません。何を無料で提供するのかを決めずに、入口だけを広げたことにあります。私は税理士ではなく、税理士事務所のAI集客(GEO・AI-SEO対策)と業務効率化を支援する立場ですので、税務の中身ではなく、無料相談をどう見せるかという設計の話としてまとめます。
無料相談が安売りになる3つの状態
無料相談がうまく回っていない事務所には、共通する状態があります。
1つ目は、範囲が書かれていないことです。 「初回無料相談受付中」とだけ書かれていると、相談者は「聞けるだけ聞ける」と受け取ります。実際には個別の税額計算まで無料でやるつもりはないはずですが、そう書いていなければ伝わりません。
2つ目は、時間が書かれていないことです。 30分なのか、1時間なのか、時間の目安がないと、相談者は終わり方を決められません。結果として長引き、事務所側の負担だけが増えます。
3つ目は、次に何が起きるか書かれていないことです。 相談のあとに見積もりが出るのか、その場で契約の話になるのかが不透明だと、警戒して申し込まない人と、契約する気がないまま申し込む人の両方が増えます。
3つとも「書いていない」ことが原因です。値段を上げる話ではなく、条件を明示する話だと考えてください。
無料で出す部分と、出さない部分の線引き
線引きの基準は、相談者にとって価値があるかどうかではなく、その場で完結してしまうかどうかです。
無料で出してよいのは、相談者が自分の状況を正しく把握するための情報です。今どういう状態にあるのか、選べる道は何があるのか、放っておくと何が起きるのか——ここを出し惜しみすると、相談者は判断できず、結局どこにも頼まないまま終わります。
一方、無料にしないほうがよいのは、そのまま持ち帰って実行できてしまう作業です。具体的な数値の試算、書類の書き方の個別指導、申告書の下書きといったものです。ここまで無料でやると、相談だけで用が足りてしまいます。
わかりやすく言い換えると、地図は無料で渡し、運転は有料という分け方です。地図がなければ相談者は動けませんし、地図をもらった人の多くは「自分で運転するのは大変だ」と気づきます。
掲載ページに書いておく5項目
無料相談のページに、次の5つを書いてください。順番もこのとおりが自然です。
| 項目 | 書く内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 1. 対象 | どんな状況の人に向けたものか | 対象外の人が申し込まなくなる |
| 2. 時間 | 30分・60分などの目安 | 相談者が終わり方を想定できる |
| 3. 相談できること | 無料の範囲を具体的に3つ程度 | 期待値がそろう |
| 4. 相談できないこと | 個別の試算や書類作成は有料である旨 | 安売りを防ぐ |
| 5. その後の流れ | 相談後に何が起きるか | 申し込みの心理的な壁が下がる |
多くの事務所が4番を書くことをためらいます。断り書きが増えると申し込みが減るように感じるためです。実際には、4番を書いたほうが申し込みの質が上がり、対応時間あたりの成約は改善しやすくなります。
5番も効きます。「相談後にこちらから営業のご連絡をすることはありません」と一行あるだけで、申し込みの心理的な壁はかなり下がります。書いた以上は守る必要がありますが、守れる範囲で書けば十分です。
相談の場で価値を伝える進め方
ページの書き方が整ったら、次は相談そのものの進め方です。ここでも「専門性を見せよう」とする必要はありません。
効くのは、相談者が気づいていない論点を1つだけ示すことです。相談者は自分が聞きたいことを聞きに来ますが、実務家から見ると、聞くべきことが別にある場合があります。その1点を指摘できると、「この人に頼んだほうがよさそうだ」という判断材料になります。
逆に、その場で全部を解決しようとしないでください。相談者にとっては親切に見えて、結果として「もう頼まなくていい」という結論を与えることになります。
私自身、2000年に自分が会社を設立したとき、登記や定款の書類は専門家に依頼して一発で通してもらいました。依頼した側として実感したのは、「自分でもできなくはないが、確実さと時間を買うために専門家に頼む」という価値の大きさです。相談の場で伝えるべきなのは、知識の量ではなく、この「確実さと時間」のほうだと考えています。
生成AIに拾われる書き方
最近は、相談先を探す人が検索の前に生成AIにたずねる場面が増えています。「相続の相談は税理士と弁護士のどちらですか」「顧問料の相場はいくらですか」といった聞き方です。
無料相談のページも、この流れに合わせておくと入口が広がります。
まず、見出しを相談者の質問の形にしてください。「無料相談ではどこまで聞けますか」という見出しを立て、その直下に答えを2〜3文で置きます。前置きの長い構成は引用されにくくなります。
次に、対応分野と対応エリアが本文から読み取れる形にしておいてください。地域名を含む質問に対して、候補に入りやすくなります。
そして、料金や制度に触れる部分には、いつ時点の内容かを書き添えてください。税制は変わりうるものですので、時点の書かれていない記事は引用しにくい情報になります。
よくある質問
Q: そもそも無料相談はやめたほうがいいですか?
A: 一概には言えません。紹介中心で新規の入口が少ない事務所では、無料相談が有効な入口になります。問題は無料であること自体ではなく、範囲が決まっていないことです。まずは範囲と時間を書くところから試してみてください。
Q: 「相談できないこと」を書くと、申し込みが減りませんか?
A: 総数は減ることがあります。ただ、減るのは無料の範囲だけを使うつもりだった層です。対応時間あたりで見ると、書いたほうが結果は良くなりやすいと考えています。数を追うのか、対応時間を守るのかを先に決めてください。
Q: 相談時間を30分と60分のどちらにすべきですか?
A: 扱う分野によります。相続や事業承継のように前提の確認に時間がかかる分野は60分、記帳や申告まわりの一般的な相談は30分でも成立します。迷う場合は30分から始めて、足りなければ延ばすほうが安全です。最初から長くすると、戻せなくなります。
Q: オンラインと対面のどちらがよいですか?
A: 申し込みの数はオンラインのほうが伸びやすい傾向があります。一方で、相続のように資料を広げて確認する相談は対面が向きます。両方を用意して、相談者に選んでもらう形が現実的です。
まとめ
無料相談が安売りになるのは、値段の問題ではなく、範囲を書いていないことが原因です。対象・時間・相談できること・相談できないこと・その後の流れの5つをページに書くだけで、申し込みの質は変わります。
線引きの基準は、地図は無料で渡し、運転は有料にすることです。相談の場では、相談者が気づいていない論点を1つ示し、そこで止めてください。全部を解決してしまうと、頼む理由が消えます。
税理士AIでは、無料相談のページを、依頼者が実際に検索する言葉で見つけてもらえる形に整えるところからお手伝いしています。税務の判断そのものは先生の領域ですので、私は「その価値をどう伝えるか」の部分を担当する、という分担を前提にしています。まずは今のページに5項目のうちいくつ書かれているかを数えてみてください。
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